【医師のキャリア/転職】病院の発展にコンサルティングは必要か【訪問診療】

院長ブログ

わたしは医師としての人生を消化器外科医としてスタートしました。

そして、外科医としての腕を磨いていたころは、一人前になるには最低10年の修業が必要だと教わりました。

 

最近、どの分野でも1万時間トレーニングすると一人前になれるという研究結果が出ているようですが、手術など外科医としての実技に関するトレーニングも、一日3時間、1年365日休まずに行うと、約1000時間。

そして10年で1万時間となります。

この一人の医師としての修業時代。

この研修時代には、医局だったり、病院の先輩医師だったりから、ある時はマンツーマン、ある時はカンファランスなどで、様々なことを学びます。

 

外科医でしたら、メスの握り方や組織の剥離の仕方、さらには術前術後の管理など、学ぶことは山のようにあります。

これらを昼夜問わず、学んでいくわけです。

そして、一医師としての技能が備わってくると、次はチームとしての医療上の力を進歩させる必要が出てきます。

その時には、それぞれの構成員がチームの一員として力を発揮するように努めるとともに、チーム全体の戦略を確立していかなくてはいけません。

 

この時に強い味方となってくれるのが、外部の力、たとえばコンサルタントだと思います。

もともと、日本の医療界ではコンサルタントが活躍する土壌はほとんどありませんでした。

しかし、最近、病院機能評価などを多くの病院が受審するようになり、コンサルタントの力が必要になってきました。

 

また診療報酬の改定のたびに、病院経営は難しくなり、かつ変化が求められますが、それに適切に対応していくには、その道に詳しい人の力を借りる必要が出てきます。ですから、現在は病院経営をする時には、いわゆるブレーンを、常に確保しておく必要があるように思います。

“プロ選手”にはプロのコーチが必要


個人の技能、チームとしての力、いずれも一流のものにしていくのには、一流のコーチが必要なのではないでしょうか。

 

ちょうど野球を始めた少年が、最初は父親をコーチとし、次には、その学校の監督などがコーチとなり、そしてプロになった後は、そのプロのコーチを必要とし、そして大リーグで活躍していくには、そのステージにふさわしいコーチを必要とするように。

 

庄内余目病院では、後から振り返ると、この一流のコーチを、コンサルタントとして得ることができました。それが、大きな成功に結びついていたのです。

国内でも珍しい「創傷ケアセンター」が庄内余目病院にできるまで

庄内余目病院で導入したコンサルティングで最も成功し、また10年以上継続しているものは、(株)ミレニア(現在(株)ミレニアメディカル、以下ミレニア社)による「創傷ケアセンター」に対するコンサルティングです。

そもそも、創傷ケアセンターを作りませんかというダイレクトメールが、2006年4月にミレニア社から届き、すぐに導入を決断。

同年の10月1日に開設することにし、さっそく準備に入りました。準備期間に入ったミレニアからのコンサルティングは、すべてがマニュアル化されていて、それに沿って、4か月間で組織づくりをし、そして足りない臨床分野を研修し、広報していきました。

 

職員4人を米国研修に派遣


組織づくりでは、当初わたしが想像していた以上の構成で、院長、事務長、看護部長を巻き込み、その下に創傷ケアセンター長、そして各スタッフが連なりました。

 

その中には、総務や医事課といった事務系、そして広報担当も入り、全員が同じコンセプトを持ち、その進行状況を何度かの会議で共有していきました。

また重要な研修として、医師のわたしと看護師2人。

そして広報担当の事務職員一人の計4人が参加した1週間の米国研修がありました。

講師は米国の足病外科専門医の李家中豪(りのいえ・ちゅうごう)医師。

ミレニア社の臨床最高責任者です。足病外科という分野は日本にはなかったため、消化器外科医のわたしが知識を総動員し、さらに新しい知識を吸収してきました。

 

また看護師2人が、創の評価や処置の方法を学び、また事務職員は、広報関係を主体に学びました。

そして全員で、日本にはほとんど存在しない「創傷ケアセンター」の全体像を肌で感じて帰国したのです。

そして開設が近づくと、広報活動を本格化させ、新聞記事はもちろん、テレビ局の取材にも来てもらうように手配しました。

このようにして、無事に開設した創傷ケアセンターですが、その後も、ミレニア社の指導の下に、定期的に地域に対しての広報活動として、講演会や勉強会を頻繁に開催していきました。

 

コンサルティングをより生かすために受け手の実力を上げる

 

また臨床面では、月に1回、テレフォン・カンファランスと銘打たれたカンファランスを行っていきました。

これは患者さんの患部の写真をインターネットで共有しながら、米国の李家先生と電話で治療法を討議するものです。

これは開設当初よりも、当院での臨床レベルが上がった最近の方がより役に立っているような気がします。

まさに大リーガーのコーチを受けているような気分です。

こちらの実力が上がったからこそ、そのアドバイスの意味を深く理解し、実践に結び付けていけるのだと思います。

臨床の内容にまで踏み込んだコンサルティングは、まだ日本ではほとんどありませんが、このような体験から、わたしはとても大切なものだと感じています。

 

「病院の発展にコンサルティングは不要でしょうか?」への私的結論


コンサルティングは決して不要ではなく、プロ野球選手がプロのコーチにアドバイスをもらってレベルアップしていくように、病院もコンサルタントの力を得ることで発展できます。

特に、診療報酬改定などで病院の経営環境が厳しさを増すにつれて、病院経営者が的確な判断を下すためには、経営分析や戦略提案をしてくれるコンサルティングが必要になってきています。

さらに言えば、病院の状況に応じた適切なコンサルティングこそ、病院を飛躍的に変化、発展させます。